東京都庁=嶋野雅明撮影 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、東京都が都民に要請した「今週末の外出自粛」は29日も継続され、関東地方の降雪もあり、東京や首都圏の人通りは少なかった。都内の感染者数は同日、1日としては過去最多の68人となり、2日連続で60人以上となった。これで都内の感染者は430人になった。 また、千葉県は29日、東庄(とうのしょう)町にある障害者施設「北総育成園」に絡んで新たに利用者と、職員の家族計28人の感染を確認し、関係者の感染は計86人となった。 都内の感染者数は、24日まで数人から10人台にとどまっていたが、25日以降は40人台に急増し、さらに28日は63人に上っている。 小池百合子都知事は25日の緊急記者会見で、感染者が爆発的に増える「オーバーシュート」の懸念が高まり、「このままの推移が続けばロックダウン(都市封鎖)を招く」と危機感を示し、この週末に不要不急の外出などをしないよう都民に呼びかけていた。30日以降も、平日の仕事はできるだけ自宅でこなし、夜間の外出も控えるよう求めている。 自粛要請の効果を検証するには、潜伏期間や発症から検査に至るまでの期間を勘案する必要がある。ある都幹部は「今週末の外出自粛の効果は、約2週間後に分かるだろう」と話し、4月中旬ごろとみられる。 都によると、29日に感染が確認された68人のうち27人は、累計で69人の感染が確認されている永寿総合病院(台東区、病床数400)の患者やスタッフだった。都は院内感染の可能性が高いとみている。パンデミック(世界的大流行)となり、海外帰国者の感染確認が目立つことも、ここ数日間の都内の感染拡大につながっているとみられる。 永寿総合病院は、総合内科や外科、産婦人科などを備え、24時間体制で救急患者を受け入れる「2次救急医療機関」に指定されている。同院は感染者が出たことを受けて、24日から外来診療を中止している。 一方、都内の感染者のうち感染経路が把握できていない人も25日に10人を突破し、26日以降も3日連続で20人前後を推移。29日は26人だった。都は引き続き、経路の特定作業を進めている。濃厚接触者やライブハウスなど集団感染が起きやすい場所とのつながりが分からなければ、感染拡大防止のカギになる「クラスター(感染者集団)潰し」もできず、大規模流行につながりかねないと指摘されている。【曽田拓、南茂芽育】