新型コロナ (Mainichi)

ユダヤ教「超正統派」居住区で感染拡大 集団礼拝やめず 大家族で“密集”し生活

By April 11, 2020 No Comments
新型コロナウイルス感染防止のためマスクを着けたユダヤ教超正統派の信者の男性=イスラエルのテルアビブ近郊で3日、AP

 イスラエルのユダヤ教超正統派住民の居住区で、新型コロナウイルスの感染が深刻化している。礼拝を優先し、政府が呼びかける「不要不急の外出禁止」などの情報を信じない人が多いことなどが背景にある。今後、大規模な集団感染を引き起こす可能性もあり、イスラエルのメディアは、超正統派にとって第二次大戦中のナチス・ドイツによる「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)以降、最大の脅威」と警鐘を鳴らしている。

 超正統派が集住する地域で深刻なのが、イスラエルの中心商業都市テルアビブに近い人口約20万人のブネイブラクだ。4月2日までに、人口約90万人の最大都市エルサレムとほぼ同じ900人以上が感染した。

 イスラエルは建国時、国家統合のためユダヤ教の伝統を公的に守ることを約束し、超正統派に特別な地位を与えた。多くの男性が就労せずに宗教研究に没頭することを支援し、政府の補助金で生活する人も多い。出生率は6・0前後と高く、子だくさんの家族が2世代、3世代とアパートに「密集」して暮らすケースもあり、こうした生活環境も感染拡大の要因の一つとみられる。テレビやインターネットと距離を置き、政府や報道機関の情報よりも聖職者の言葉を信じる傾向もあり、政府がシナゴーグ(ユダヤ教会堂)での礼拝規制に踏み切った後も、超正統派居住区では礼拝が続けられていたという。

政府の新型コロナウイルス感染対策に反対するユダヤ教超正統派の信者の男性を拘束する警察官ら=イスラエルのエルサレムで3月30日、AP

 現地メディアによると、感染症の専門家は2日に国会で証言し、「ブネイブラクの潜在的感染者は、人口の約40%に上っている可能性がある」と指摘した。事実なら、現在判明している感染者の80倍以上に当たる。

 当局は住民の検査拡大に努める。だが8~15日のユダヤ教の祝祭「過ぎ越し祭」を前に、家族から隔離されることを恐れて検査を受けたがらない住民もいるという。

 イスラエル保健省は2日未明、超正統派政党「ユダヤ教連合」の党首を務めるリッツマン保健相と妻の感染・隔離を発表した。感染ルートは確認されていないが、地元テレビはリッツマン氏が「集団礼拝に参加していた」と報じている。

 政府はブネイブラクを事実上封鎖し、特別な許可がない限り出入りを許していない。イスラエルは3月中旬にいち早く全世界からの渡航を原則禁止する措置を取るなど、厳しい防疫態勢を敷いている。4月5日現在、感染者は8000人以上、死者は46人に上る。【エルサレム高橋宗男】

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